奥深き「ペルシャ絨毯」の世界へようこそ

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タブリーズ

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中東の雰囲気が漂い、一度目にしたら忘れられないインパクトと魅力を持つ、ペルシャ絨毯

見た目のみならず実用性に優れたペルシャ絨毯は、人々の暮らしをより豊かにしてくれます。

しかし「値段が高い」「どれを選べばいいのか分からない」という理由から、なんとなくとっつきにくイメージを抱いている方も少なくないはず。

ここでは、ペルシャ絨毯に興味があるけれど、まずはどんなものかを知りたい!という方に向けて、ペルシャ絨毯について簡単にご紹介します。

歴史・生産地域といった背景が分かれば、ペルシャ絨毯がもっと身近に感じられるはずですよ。

ペルシャ絨毯とは

ペルシャ絨毯とは、イランを中心に生産される織物の総称です。

「ペルシャ」はイランの古代名で、長い歴史の中で育まれた伝統・技術とともに受け継がれてきました。

織物に使用される素材はウールが最も多く、製作年代や地域によってシルク・ラクダの毛・コットンによる絨毯も存在します。

ウール(羊毛)は、ペルシャが羊に適した地域であることに加え、天然素材の中でも防炎効果が高いため、特に好んで用いられます。

美術工芸品かつ家財として大切にされてきたペルシャ絨毯ですが、近年はクッションサイズの小さなタイプが織られ、敷物のほか壁掛けやチェアマットのような、手軽なインテリアとして楽しめるアイテムが増えています。

ペルシャ絨毯の歴史

ペルシャ絨毯の歴史は大変古く、およそ 3000~4000 年前にイラン周辺で始まったといわれています。

当時のペルシャ絨毯は、今のように織り機が発明されていなかったため、獣毛を固めたようなものでした。

現在のような織物としてつくられ始めたのは、約 2500 年前からとされ、現存する最も古い絨毯では「パジリク絨毯」が有名です。

16~17 世紀にかけて、ペルシャ美術の発展と共にペルシャ絨毯制作は黄金期を迎えます。

特にサファビー朝の王サー・アッバス 1 世によって、都がイスファンに移された時代には、多くの工房が構えられました。

王宮を含むさまざまな建物の新設に伴い、ペルシャ絨毯制作がさかんに行われたことは、ペルシャ絨毯の歴史において大きな意味を持ちます。

一時はアフガンの侵略によって、多くの織り技術が絶えましたが、19 世紀後半から欧米市場の需要が急増したことも手伝って、ペルシャ絨毯の生産が再興しました。

今日までペルシャ絨毯づくりは各地域で粛々と受け継がれ、精巧なテクニックを用いた美しい絨毯が織り続けられています。

ペルシャ絨毯は高い?

よく「ペルシャ絨毯は高い」という声を耳にしますが、なぜでしょうか。

もちろん、素材の組み合わせや人気柄・生産地域による価格の違いはありますが、基本的に全て手作業で織られ、製作に膨大な時間と労力を要しているからです。

一般的にペルシャ絨毯は、高密度な織りと結び(ノット)によって構成され、繊細な文様を織りあげる技術は決して容易ではありません。

糸の色は、簡易な化学染料ではなく植物染料を用いるところも多く、より手間暇かけて仕上げられます。

丁寧な手仕事によって、美しさと実用性を兼ね備えた、高品質な絨毯ができるのです。

また過去の歴史では、宮廷や貴族に向けて絹素材を用いた絨毯が多く織られ、「富と権力のシンボル」として大きな意味を持ちました。

シルクロードを通してヨーロッパ・アジアへ広まった遊牧民の絨毯は贈答品やコレクションとして人気を獲得し、今も高い価値を持つ存在として知られています。

さまざまな要素があわさった結果、今でもペルシャ絨毯は「価値あるもの」として世界じゅうで愛されているのです。

ペルシャ絨毯の基本的な模様構成

ペルシャ絨毯の模様は、生産地域やデザインによってさまざまですが、大まかな基本構成が存在します。

中心部から端にかけて、以下の 4 つに分かれます。
また、織り端の部分はフリンジ状に処理されることもあります。

  1. メダリオン(中央)
  2. オールオーバー(総柄)
  3. メヘラブ(一方向柄)
  4. ピクチャー(画柄)

柄のバリエーションは非常に幅広いため、ここでは紹介しきれませんが、「アラビア風」を意味するアラベスク文様や、一般的に「ペイズリー柄」で親しまれるボテ文様が有名です。

そのほか、絵画のように自由なパターンをフレームの中に織りあげる絨毯も見られ、まさしくアートとして壁に飾りたくなるデザインが魅力です。

ペルシャ絨毯の主な種類

ペルシャ絨毯は、生産地域や柄・つくられた年代による分類方法があります。

ここでは「地域」の側面から、代表的なペルシャ絨毯の生産地をいくつかピックアップしました。

生産地によって素材・パターンの違いといった特色があり、絨毯を知るにあたって大きな助けとなるはずです。

なお、キリムギャッベといった、日本で人気の高い絨毯については、別記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

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イスファハン(Esphan)

イスファン(エスファン)はイランの古都であり、現在の重要な工業都市として有名な町。

かつてペルシャ美術が最盛期を迎えた頃は、最高級の絨毯を織る生産地として名を馳せました。

現在も高品質のペルシャ絨毯を織る工房・作家が多く存在します。

羊の首から背中にかけて採れるコルクウールを使用し、シルクを併用したエレガントなディティールが特徴です。

中央部のメダリオンから流れるような唐草・植物文様がうつくしいデザインのほか、絵画のようなパターンもあり、お部屋全体を鮮やかに彩る絨毯が揃います。

画像例:https://www.carpetvista.jp/kapetto/isfahan-silk-warp?artno=RZ1309850

参考 第3回:ペルシャ絨毯の産地と種類 ~イスファハン~|連載コラム/Column:素晴らしきペルシャ絨毯の世界 – ペルシャ絨毯協同組合 Persian Carpet Association in Japan

クム(Ghom / Qum)

クム(ゴム・ゴメ・ゴームなど)は、イランの首都テヘランと、先ほどのイスファンの間にある町です。

かつてはゾロアスター教の聖地として栄えましたが、20世紀ごろに絨毯の生産を開始しました。

絨毯づくりの歴史は浅く、はじめは周辺地域の技術を取り入れながら生産を行なっていましたが、すべてシルクで織られた絨毯が欧州で人気を集め、今では名産品となっています。

上質な艶をもつ細い絹糸を使い、植物・動物といった自然モチーフが繊細に織り込まれた絨毯は「シルク・ゴム」と呼ばれます。

ほかの地域に比べてすこし小さめなため、お部屋のワンポイントとして壁にかければ、立派なアートとして輝きを放つに違いありません。

画像例:https://www.carpetvista.jp/kapetto/qum-silk?artno=TBZZZI69

参考 スタイルと起源 – ペルシア絨毯 – ゴム | 初めに

タブリーズ(Tabriz)

タブリーズはトルコにほど近い町で、イラン北西部・東アゼルバイジャン州に位置します。

交易の町として栄え、長い間トルコに占領された歴史をもちますが、ヨーロッパをペルシャを結ぶ重要な場所でもありました。

今ではトルコ語・アゼルバイジャン語を話す部族が住まい、17世紀以降で最も古い絨毯づくりが続く地域です。

独特なかぎ針でノットを結ぶため、粗く短いパイル地と力強く整った仕上がりが特徴。

ヘラティ(マヒ)文様と呼ばれるひし形のパターンをはじめ、幾何学模様と自然モチーフを美麗にアレンジしたデザインが多く見受けられます。

ウールと綿糸を中心につくられた絨毯は丈夫で、床に敷いてタフに使える優れものです。

画像例:https://www.carpetvista.jp/kapetto/tabriz-50-raj?artno=RZ1371375

参考 スタイルと起源 – ペルシア絨毯 – タブリーズ | 初めに

知れば知るほど虜になるペルシャ絨毯

ひと口に「ペルシャ絨毯」といっても、生産年代・地域によって幅広く、知れば知るほど奥の深いアイテム。

膨大な種類があるため、すべての知識を網羅するのは難しいかもしれませんが、手仕事によってつくられた絨毯はどれも質が高く、一度手に入れれば長く使えることは間違いありません。

自分だけのお気に入りに出会えたときの喜びは、何にも代えがたいもの。

気分にぴったりのペルシャ絨毯を探しに、一歩踏み出してみませんか?

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参考文献

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